「別嬪さんが、寂しそうな顔してどうしたんだ?」
「…私は別嬪でもないし寂しそうな顔もしていないが」
私がそう言うと、男は私の太股に手を乗せた。……不確にも、あの探偵のことを思い出してしまった。
「……私は一夜限りの相手としか関わらんぞ」
「かまわねえよ、…今晩は飲もうぜ」
男の前にグラスが置かれる。妃はまたか、と呆れた顔をしていた。
男のセックスの技巧は申し分なく、私は十分に満足することが出来た。解されたアナルを固く勃ち上がった性器で犯される。
「ぅ、あ…っ」
「思った以上の美人だな…そそられる」
「な、にを…っ、ぁうっ!」
急速に最奥まで突き立てられ、その衝撃で私は呆気なく果ててしまった。しかし、男のモノが萎える様子はない。
「おい…!やめ…っ」
「まだだろ?」
男の欲望は尽きることを知らず、私はそのまま3度、イかされてしまった。
(とんだ絶倫だな…)
男の部屋のシャワーを借り、その間シーツの変えられたベッドに横になりながら私は久々に感じる腰の重さに耐え兼ねていた。すると、自身もシャワーを浴び終えたのか、男が歩み寄りベッドに腰を掛けた。
「今夜は泊まってくのか?」
「そのつもりだ…どこかの馬鹿のせいで腰が痛い」
「くっくっく…そりゃ悪かったな」
男は同じ様にベッドに潜り込み横になる。
「で、明日の朝には消えてるってわけか」
「貴様が起きていなければな」
「…なあ」
「なんだ」
「名前、教えてくんない?」
私はピシリと眉間にシワを寄せた。
「………なんだと?」
「んな怖い顔すんなよ、俺も教えるからよ」
「断る」
私はベッドから起き上がった。気分が悪い。これ以上ここにいるとさらに気分が悪くなりそうだ。私はベッドから抜け出した。
「おい、帰んのか?」
「二度と会わないことを願いたい」
「無理だろ、あのバーに出入りしてる限りな」
私は荷物をまとめ、部屋を後にしようとドアノブに手を掛けた。
「仁科義之(にしなよしゆき)」
「………」
「…覚えといてくれよ」
私は部屋を後にした。
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